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VG中級講座1「殲滅戦ってなんですか」

もう内容が複雑なので初級者向けとは言えなくなってきました。

ですので、今回からは中級講座とします。

 

お題は「殲滅戦」です。

 

殲滅戦は要求値の基本を無視して、相手のRを徹底的に攻撃する戦術です。序盤から中盤にかけての不利な状況を打開するためのファイトプランの一つです。不利な状況を打開する戦法とは言いましたが、殲滅戦をやれば不利を必ずひっくり返せるという訳ではありません。

 

◆殲滅戦を選択するタイミング

2ターン目~3ターン目、遅くとも4ターン目までには殲滅戦にシフトするか意思決定をします。それ以降のターンでは相手の手札内容の把握が難しくなるため、殲滅戦を選択するのは有効とは言えません。(序盤のドライブ記憶ができていることは大前提です。)

 

◆殲滅戦にシフトする条件

1.ダメージ差が大きく開いた

 相手が早々に☆をめくったり、後1や先2の序盤に展開されて3パン以上を通してしまったときなどです。このままVへアタックしても「ダメージレースに追いつけるかもしれない」だけで、相手が基本的に有利なことに変わりません。もはや「ダメージレース」をする意味が無いので、「要求値の基本」の重要性が一時的に薄れます。

 

2.相手が複数のユニットを手札から展開している

 序盤から多くのユニットを展開して、手札が薄くなっている状況です。相手の残りの手札の内容は不明だとしても実質の枚数は少ないので、それらがガード札でも後続のアタッカーでも殲滅が完了してしまえば、しばらくの間は相手の攻め手が不足し、こちらのシールド値に余裕ができます。

 

3.相手のドライブチェックがG0やG1ばかり

 相手がトリガー等を表にしている場合、手札にはG2やG3が少ないということになります。相手には追撃に使えるカードがないので、ガード札でRを守るかもしれませんが、それは後々相手が自分の身を守れなくなるということなので問題ありません。G1を縦に並べて攻撃してくるかもしれませんが、16000程度のラインの要求値はたかが知れています。

 

◆ 殲滅戦がもたらすもの

1.相手のパワーラインの壊滅もしくは攻撃回数の低下

 現状のスタンダートではG3が8枚、G2が12枚の20枚程度がデッキに搭載されていることが多いです。デッキの約40%を占めます。20枚すべてがRで機能するアタッカーということは少なく、ライド要員やリソース要員も含まれます。また、序盤の攻防ではVの1パンのみでターンが返ってくることも多いですが、この時にダメージに落ちるカードもチェックしておきましょう。アタッカーとして使えるユニットを潰していくことにより、相手はまともな要求値のパワーラインが組めなくなったり、V列とR列1つの2面展開しかできなくなります。こうなると、こちらのシールド値に余裕ができるため、試合を長引かせることができます。(俗に言う泥仕合です。)

 

2.有効トリガーの状況

 相手は早い段階でトリガーを表にしているので、殲滅戦に入った後は確率的に相手はトリガーが出にくく、こちらは試合が長引くほどトリガーをめくれる確率が上がります。また、ダメージで先行されているため、相手のヒールは不発になり、当然のことながらこちらのヒールは有効となります。クリティカルやフロントにしても、相手はトリガー効果を乗せる先が貧弱だったり、最悪の場合Rがいなかったりするためトリガー効果を最大限に発揮できなくなります。ダブクリやダブルヒール、クリヒールの機会をうかがっていきます。

 

3.相手がVよりもRのガードを優先する

 相手は手札にも盤面にもアタッカーが無い状態です。また、Vを殴らないので相手のダメージも増えません。この状況では、盤面に残る貴重なアタッカーがあれば、相手はVよりもRを守るようになります。こうなると要求値が低くガードしやすい攻撃でも、クリティカルが増加した攻撃でも、アタック先がVならスルーされやすくなります。もし、ここで相手がRを守りつつVも守ってくるようなら、ガードのために手札がどんどん減ります。この場合は相手の手札が枯れるまで殲滅戦を続行します。

 もし、殲滅のためこちらのVで相手のRを殴ったときダブクリをめくったとき、クリティカルもパワーも全部乗せたRの攻撃がVへ通るならダメージレースで一気に追いつき(追い越せ)ます。

 相手が「Vを守るなら殲滅戦継続」で「Vへ一気にダメージが入るなら(序盤の不利をひっくり返せたので)ダメージレースに戻れる」という状況になります。どっちであろうとも、こちらにはおいしい状況です。

 

◆殲滅戦をやめるタイミング

 殲滅戦はヴァンガードというゲームの勝利条件に直結するものでもありません。殲滅を続行していてもゲームには勝てないので、いつかは6点のダメージを与えるダメージレースに戻らなければなりません。

 

1.殲滅完了時

 相手の前列のアタッカーを全滅させ、後続のアタッカーが相手の手札から出てこなくなったら殲滅完了です。あいては貧弱な展開や攻撃しかできませんので、こちらはシールド値を温存しながらダメージレースに復帰できます。とは言うものの、殲滅完了まで殲滅戦を行うことはレアケースです。

 

2.有効トリガーが連発したとき

 ダブクリやダブルヒールなどによって、ダメージレースでの相手の優位性がチャラになった(もしくはこちらが有利になった)ときが殲滅の止めどきです。序盤でついていた差が埋まったので、もはや要求値の基本を無視してゲームの勝利条件から遠ざかってまで殲滅を続行するする意味はありません。こちらの方が止めるタイミングとしては適切な場合が多いです。

 

◆殲滅戦の裏目

 殲滅戦は戦術の一つです。決して万能なものでもなく、裏目を踏むこともあります。

 

1.殲滅戦開始直後にドライブでG2G3が多数出る

 いくら相手のアタッカー(前列R)を叩こうとも、相手の手札に後続のアタッカーがいる状態です。こちらが要求値を無視して(ダメージレースを捨てて)まで殲滅戦を仕掛けたのに、無慈悲にもG2やG3のアタッカーが相手の手札に補充されてしまった場合は、もはや殲滅を仕掛ける意味がなくなります。相手はRへの攻撃をノーガードして、次のターンに後続をコールするだけです。この場合、相手は攻撃力も崩壊しておらずシールド値も充分に抱え込んでいるため、こちらの敗色が濃厚となります。

 

2.こちらのトリガーがめくれない

 殲滅戦で試合を引き延ばしにかかったのに、こちらのトリガーがドライブでめくれず、素引きもしくは山札の下に沈んでいる場合はもうほとんど負けです。ご愁傷様。

 

 

 ◆総括

 殲滅戦は「要求値の基本」に則ったダメージレースという本来のゲームを捨てています。普通にやっていても勝てない場合に選択可能な戦術の一つです。殲滅戦をよく理解しないで、「なんとなく不利っぽいから、相手のRを叩いておく」みたいな中途半端は敗北を招きます。上記のように裏目もあるので絶対ではありません。

 また、ダメージレースに追いついたあと、そのままゲームエンドに持って行けるような「まくり性能が高い」デッキの方が殲滅戦には向いています。具体的に言うと、クリティカルを上昇させるスキルもったユニットや直接ダメージを与えるユニットを有しているデッキです。

 

 相手が殲滅戦を仕掛けてきた場合に、それを返すプレイングというのも存在します。そちらは機会があれば。

 

 ご精読ありがとうございました。