Show and Tell

トレーディングカードゲームのことをつらつらと

「確率」を知ると考え方も変わる?

ヴァンガードはまったく同じ実力・情報力の人同士がまったく同じ構築のデッキでファイトした場合、次の3つの要素が勝敗を分けます。

 

・じゃんけん等による先攻後攻決め

・初期手札、マリガン、各種ドロー

・ドライブチェックとダメージチェック

 

それぞれ「先攻をとる」、「有効なカードを引く」、「トリガーをめくる」という結果で勝利へ傾いていきます。有効なカードを引くという点で勝利に近づく点はおおよそどのTCGでも一緒です。

つまるところヴァンガードは「先攻ゲー」であり「トリガーゲー」であるということになります。もっと極端に言うならば、「運ゲー」です。

 

じゃあ「運ゲー」を制するために、出来ることをちゃんとやれていますかというのが、今回のお話です。

おばあちゃんの荷物を持ってあげたり、妊婦さんに電車の席をゆずったり、神社にお参りしたり、お経をあげたり……善行を重ねること、徳を積むことで幸運を呼び込む!なんて話じゃないです。てか、最初の2つは普通にやってください。

 

運ゲー」=すべては確率です。確率を知り、行動(プレイング)の指針とすることで「運ゲー」を制することに少しずつ近づくことができます。

 

◆デッキトップ(山札の一番上)の確率

ヴァンガードは毎ターン通常のドローに加えてドライブチェックやダメージチェック、各種カードの効果で山札が減っていきます。山札に●枚残っているカードがどれくらいの確率でデッキトップにいるかということを知っておくだけで、いろいろなプレイングの理由づけになったり、素早い判断につながったりします。

 

今回はこんな表を用意してみました。

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縦軸は山札の残り枚数です。ゲームが進行すると減っていくので、時系列順に上から下へ並んでいると考えてください。FV(ファーストヴァンガード)と初期手札5枚を除くため、44枚から表はスタートしています。

横軸は目的とするカードが山札に何枚残っているかを示しています。自分のデッキの枚数内訳をきちんと把握していれば、手札や盤面、ダメージ、ドロップで見えているカードを数えることで、山札の残り枚数が何枚か知ることができます。

これらの縦横が交差するところのパーセンテージが、「目的のカードがデッキトップにある確率」です。

 

表の見方の例を挙げます。初手に1枚もトリガーユニットが無かった場合、デッキの残りトリガー枚数は16枚となります。先攻1ターン目のドローは44枚の山札のトップを引きます。このとき、縦軸の「44」と横軸の「16」が交差するところを見ます。「36.36%」とあります。この確率でトリガーユニットを引くということが分かります。「初手にトリガーが無くて良い手札だと思ったら最初のドローでトリガー素引きして萎え」ではなく、「そりゃ4割弱も可能性あるんだからトリガーくらい引くわwww」という思考になってくれたら、この先も読む価値あるかもしれません。(ちなみに☆8引4治4のトリガー構成なら、☆は18.18% 引と治はそれぞれ9.09%の確率でデッキトップにいます。全部合計するとちゃんと36.36%になります。)

 

◆ドライブチェックの確率

そうは言っても、この表を見ながらファイトするわけにもいかないので、ポイントになる数値を何となく知っておくだけでも充分です。

確率というと、やっぱり皆さん気になるのは、ドライブチェック(ダメージチェック)でのトリガーが出る確率ではないでしょうか。

 

では、先攻プレイヤー2ターン目のドライブチェックでトリガーが出る確率を確認してみましょう。1ターン目の通常のドロー、FVのスキルでのドロー、1点受けたとしてダメージに1枚、2ターン目の通常のドローで、山札が44枚から4枚減って「40枚」になっています。

ここまでで判明しているカードは、初手の5枚、ドロー3枚、ダメージ1枚の9枚です。トリガーはおよそデッキの1/3なので9枚中3枚がトリガーと仮定します。デッキの中の残りトリガーは16枚から3枚減って「13枚」です。

では、確率表の「40」と「13」の交差するところを見てみましょう。「32.50%」が先攻2ターン目のドライブチェックでのトリガー率になります。

 

先攻3ターン目のツインドライブではどうでしょう。毎ターンの通常ドローとFVのドローで4枚、先攻2ターン目のドライブチェックで1枚、後攻1ターン目と2ターン目に1点ずつ受けていると仮定してダメージは2枚、44枚から7枚減ってデッキの残りは「37枚」です。

判明しているカードは先ほどの7枚に初手の5枚を足して12枚です。1/3の4枚が見えているトリガーとします。16枚から4枚減って、デッキの残りトリガーは「12枚」です。

「37」と「12」の交差するところで「32.43%」、ファーストチェックでトリガーが出ない場合は「36」と「12」のところで「33.33%」、本当に1/3の確率ですね。もしファーストチェックでトリガーをめくっていた場合はどうでしょう。「36」と「11」のところを確認してみると「30.56%」です。こうしてみると、ダブルトリガーの確率って結構高く感じませんか?

 

ここで「期待値」でトリガー率を考えてみます。

相手のVがソウルセイバードラゴンで、残りデッキ「37枚」中「12枚」がトリガーの状態です。Vのソウルセイバーがアタックしてきました。まずソウルチャージ1枚、その後にツインドライブで、このアタックで計3枚のカードが公開されます。「37枚」から「3枚」めくって、その中に「12枚」のトリガーがある「期待値」は以下の式となります。

 ・37÷12=3.0833……

 ・3÷3.0833=0.97298……

なんと、1枚トリガーが出る「期待値」は約97.3%ということになりました。

数年前のヴァンガードでは「ルーターの思考」という考え方がありました。細かい説明は今回の主旨ではないので省きますが、上記の場合だと

「3枚のうち1枚はトリガーが出るかもね」

「あ、ツインドライブ前のソウルチャージでトリガーがめくれた」

「じゃあツインドライブでトリガーが出る可能性はグッと減った」

「よし、ノーガード(もしくは1枚貫通)だ」

このような思考です。これに囚われてしまうとかなり危険です。

ツインドライブ前のソウルチャージでトリガーを出してしまっていても、ツインドライブでトリガーをめくる「確率」は3割程度あります。

「確率」は急に増えたり減ったりしません。

ルーターの思考」が通用するなら、それは「無作為なシャッフル」が充分に行われておらず、「トリガーユニットとノーマルユニットがバランスよくシャッフル」されていることになります。

 

「期待値」による考え方もTCGとしては決して間違っていません。ですが、そこに「こうだったらいいのにな」という主観が付随してしまうと、漫画のカイジで負け続けるパターンのようにズブズブと沼に嵌っていきます。ご注意ください。

 

その点、単純な割り算で導かれる「確率」はシビアです。そこに人の意志は介在しません。デッキトップの1枚は神のみぞ知る1枚ですが、それに対してどう行動をするかの理由づけになるものが「確率」です。

 

◆マリガンの基準も「確率」で変わる

以前、初級講座第5回でマリガンについてお話しました。「なるべくG1,G2,G3を手札に揃えましょう」という櫂くんの教えを細かく説明したようなものでした。

ですが、実際にG2やG3にライドするまでには何枚かのドローがあります。マリガンのときにG2やG3を引けていなくてもライドまでに手札に加わっていれば問題ありません。

 

では、その「確率」はどれくらいのものなのでしょうか。例えば、G3を8枚投入しているデッキで、マリガン直後の手札にG3がなかったとします。先攻3ターン目のライドフェイズまでに、通常のドローが3回、FVのスキルでのドローが1回、先攻2ターン目でのドライブチェックが1枚と、最低でも5枚のカードを手札に加えています。さらに自分の3ターン目までに相手のターンで1点ずつ計2点のダメージを受けていたとします。

G3は8枚投入なので、先ほどの表では横軸が「8」の列を参照することになります。ドローなどで手札が増えるタイミングは、表の縦軸のそれぞれ「44」「43」「41」「40」「38」のときになります。見てみると約18%〜21%の「確率」が示されています。

 

「期待値」でも考えてみましょう。

 ・44÷8=5.5

 ・5÷5.5=0.90909……

44枚中8枚投入されているカードはおよそ5.5枚めくると、そのうち1枚はそのカード。実際に5枚めくってみたときに8枚投入されているうちの1枚でもひける「期待値」は90.91%です。かなり高い数値ですね。

 

2割前後の「確率」でチャンスは5回もあるとなんだか引けそうな気がしてきますし、「期待値」も90%あるなら1枚くらい余裕かもしれません。

ですが、「確率」はあくまで「確率」です。引けないときは引けないというのは、ソシャゲのガチャなどを回したことがある方なら実感いただけると思います。

ただ、この数値は(あくまでも経験上ですが)信用していい「確率」と考えています。

 

マリガンでG3が手札に無くても、G3ライド時までには1枚くらい引けているだろうし、そこまでにG3を引けていなくてもGアシストまで行えば、さすがに1枚くらいあるだろうといった感じです。

 

初級講座第5回で言ったことをひっくり返すようですが、このような「確率」に基づいた考え方をすることで、『優先ライド先や、必ず握っていないといけないカードでない限り、G2とG3はマリガンの時に山札に戻して、全力でG1を引きに行く』という発想も”あり”と言えるでしょう。初級講座では、毎ターンきちんとライドできることを優先し、G1,G2,G3が手札に残るようにマリガンしましょうと書きました。この考え方は、言わば応用編です。

 

普段、私がマリガンを行う際の基準は「確率」に基づき以下のようにしています。

 ・G1はなんとしてもライド用に1枚確保する

 ・G2は先攻ならライド先の保険で1枚残す

 ・後攻でG1が無いときはG2もG3も全部戻して構わない

 ・G1,G2が最初にある場合、G3が優先ライド先でなければ戻す 

特に、ノヴァなどはパーフェクトライザーに乗れないと、しょーもないので羽子板ファイターなどはマリガンでガンガン戻していました。今だとスパイクがザイフリートに乗れないとキツいところがあるので、ジャガーノートはマリガンで戻すべきですね。(ジャガーノートブラッキーは山札にいる方が良いというのもあります。)

 

 

 

ヴァンガードは実力や構築が極まれば「運ゲー」です。

 

運ゲー」=すべては「確率」です。

 

当然、「確率」を信じたが故に裏目を踏むこともあります。

 

ここまでさんざん「確率」の話をしてきましたが、最終的に信じられるのは己の直感だったりもします。

 

つまり、本当に重要なのは「サイクオリア」です。