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トレーディングカードゲームのことをつらつらと

VG初級講座8「昔との違いってなんですか」

LB、BR、双闘、GとVGの環境は7年かけて変化し、2018年の春にリセットされ太古のVGへ時代は遡りました。

いや、遡ったかのように見えました。

一部分は昔の基準に戻っています。なので、太古のVGを知らない人のために、初級講座と銘打って「要求値の基本」とか書いています。

 

では、昔と違う部分はどこでしょう。

 

・5000要求の捌きづらさ

・ブーストする意味の希薄さ

 

このあたりかと考えます。これらの要因によって戦術や構築がどう変わるのかというのが今回のお話です。

 

 

◆5000要求の捌きづらさ

5000のシールド値とは、太古のVGでは「G2やG1、ドロートリガーのシールド値」でした。故に、5000要求には手札で一番不要なカード(アタッカーとしてもブーストとしても仕事させにくいバニラのドロートリガーなど)が、ガードに切られていました。

現在のスタンダードでは、5000シールドは主に「G2ユニットが持つシールド値」です。5000要求はインターセプトで防げてしまう要求値ですが、Vへの5000要求で前列RにインターセプトできるG2のユニットがいるなら「要求値の基本」に従ってVではなくRのG2を殴られるため、実際にはインターセプトが機能しないこともよくあります。

では、インターセプトが使いづらいなら、手札からG2のユニットを5000シールドとして切りますか? 現在のスタンダード環境でのG2は優秀なスキルを持ったユニットが多く、手札に残っている(あるいは残している)G2をガードに使ってしまうことは、次の自分のターン以降の展開力の低下やアタッカー不足を招く可能性があります。つまり、G2をガードに消費していると勝ちにくくなると言えます。

また、ガードのためにG2を手札に温存しておくというのはプレイの選択肢としてあまり考えられません。展開力の要や優秀なアタッカーであるG2を手札に温存するということは、今の自分のターンの攻撃の手を緩めていることになります。ヴァンガードは手札を置ける場所が限られているゲームなので、基本的に出し惜しみはせずに、強いユニットを展開して強い盤面を作っていくべきです。

これらのことからG2ばかり引くということでもない限り、ガードに投げ捨てられるような余剰なG2は無いということになります。

 

結果として5000要求に対して10000以上のシールドを切らねばならないことも状況として出てきます。

ダメージトリガー(ダメトリ)1枚の10000パンプで通らなくなるとは言え、5000要求をチクチクと重ねられるのは、不要なカードをポイっと投げることができた太古のVGと比べると、捌きづらい攻撃と言えます。

 

 

◆ブーストする意味の希薄さ

太古のVGというか、G環境までのVGでは、

G1 7000、G2 9000、G3 11000

という2000刻みの数値がよく使われるユニットのパワーでした。

 

一方、現行のスタンダードのカードはフォースクランを基準にすると、

G1 8000、G2 10000、G3  13000

と全体的に数値が高いだけでなく、G2とG3で3000もの開きがあります。

 

G2とG1で縦列を構成すると、G3に対して10000要求のパワーラインを形成できるのは今も昔も変わりません。

しかし、トリガーのパンプ値が今と昔で5000違うところが重要です。

 

太古のVGでは、トリガーで上昇するパワーは5000だけでした。

パワー9000のG2とパワー7000のG1で、16000のパワーラインを作っておけばパワー11000のG3にダメトリが1枚乗って16000になっても、5000要求を取ることができていました。いわゆるダメトリケアです。また、10000要求は相手にクリティカルトリガー(スタンドトリガー)を切らせるか、5000シールド2枚を消費させられるので要求値として及第点みたいなところもありました。

 

しかし、現在のスタンダードでは、トリガーでパワーが10000上昇します。

パワー13000のG3にダメトリが1枚乗ると23000になります。パワー10000のG2とパワー8000のG1で、18000のパワーラインを作っていても届かない数値になります。このことから23000のパワーラインを形成して、最低でも15000要求は取りましょうと「要求値の基本」で述べました。

スキルによるパンプやイマジナリーギフトなど込みで23000ラインを作ることを目標にしているので、漫然とG2G1を縦に並べて作る18000ラインに大して価値はありません。ダメトリ1枚で通らなくなる10000要求も5000要求も大差ないので、5000要求をブーストして10000要求にする必要はほとんどありません。なんなら捌きづらい5000要求のままの方がいやらしいくらいです。

 

18000ラインに大して価値がない=手札1枚使ってブースト置く必要がない。つまり「ブーストする意味が希薄」であるということです。

 

もし、G1の8000ブーストを置くなら、前列は15000以上のパワーが求められます。単体で5000要求が取れるパワー13000程度の前列なら、ブーストには10000以上のパワーが求められます。

さらに言うと、手札1枚を消費してブーストを置いているので、相手もガードに1枚多く使わせて初めてお互いの手札消費がトントンになると言えます。(相手がガードするなら)確実に手札を2枚削れる25000の要求値すなわち33000のパワーライン、それが難しいならヒールを切るか2枚ガードに使うかの28000のパワーライン(20000要求)をブースト込みで作りたいです。(できるのであれば、ですが)

 

これらの条件を満たせるときにブースト置いてもいいかなと思える感じです。もともとVに単体では届かないパワーの前列をブーストしてやっと5000や10000の要求じゃ、前列後列と2枚も使った手札に対して得られる攻撃力が低すぎます。

 

後攻1ターン目でG1を3体並べて3パンするなんていうのも、昔と違ってやめておいた方がいいと思います。序盤にパワー8000を並べても、相手がG2にライドした時点で単体では届かなくなります。G1を後列に下げてG2等のアタッカーを前列に配置しなくてはなりません。後列のユニット先に置いてしまうことで、前列に求められるパワーがある程度決まってしまいます。そもそも、そのG1はブースターとして満足のいく要求値を作れるのかという問題もあります。

また、前列後列を毎ターン1枚ずつ配置しているので手札の消費が加速しています。手札が少ないと防御面が薄弱になります。防御が薄いと、最悪死にます。

 

 

 ◆結局どう昔と違ってくるのか

 単純にG1の重要性が低くなっています。

太古のVGでは、守護者(完全ガード)や超越コスト(シシルス互換)、単体で11000以上出せるアタッカー(メラム等)、コンボ要員(パープルトラピージスト等)と粒揃いでした。

 

現状のスタンダードではG1は「ライド用」に1枚必要なくらいで、極端な話あとは全部ガード札でもいいくらいです。相手の手札を2枚消費させるパワーラインが組めるならブースターとしての採用は良いです。もしくは単体で13000以上のパワーが出せるならアタッカーとして使う価値があります。(モルガーナやジェットライザー等)

 

昔のデッキのグレード配分はG3から「8-11-14-17」くらいの枚数をベースに考えられていましたが、現在ではG1はライド事故のケアを考慮しても12枚(3種4枚ずつ)くらいで充分です。それゆえ「8-12-12-17でG3かG2に自由枠1」くらいのグレード枚数配分がスタンダードの標準となっています。

 

 

なんだかG1ユニットをdisりまくっているような記事になってしまいましたが、全部トリガーのパンプ値が10000になったせいです。

ただし、ユニット自体の査定はじわじわあがってきていると感じるので、有用なG1が増えてくればグレード配分なども見直しが必要になると思います。

 

今回もご精読ありがとうございました。