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トレーディングカードゲームのことをつらつらと

VG初級講座7「デッキ特性ってなんですか」

初級講座も第7回になりました。

 

もはや内容が中級者向けになりつつあります。

正直、第5回くらいまでのことが実践できていれば初級者(初心者)は脱していると思います。

 

では、今回もいってみましょう。

 

「デッキ特性」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

 

ざっくり言うと、そのデッキが「どういう攻撃が得意か」「どういう試合運びをするのか」というようなことです。イマジナリーギフトのタイプも大きく影響します。

 

個々のカードの強さや、安定性、またそれらカードの組み合わせ(関連性)によって、デッキに採用するカードを決めていくということは初級講座第4回でお話ししました。

そうして組み上げたデッキが、スタンドアップから決着までにどんなことをするのか考えたことはありますか?

 

そういったデッキの成り立ちについて説明していきます。

 

とは言え、ファイト終盤は「保持している手札の数」や「盤面の優劣」、あるいは「トリガーはお互いどれだけ引いているか」「その中で有効だったトリガーの枚数差」などの運要素によりおおよその形勢は決まっているので、今回は序盤の攻防に重点を置いていこうと思います。

 

 

◆先攻と後攻

ヴァンガードのスタンダード環境は先攻が有利なゲームです。

 

先攻を取れれば、攻撃および防御において数値的な優位を築くことができます。

パワー8000のG1ユニットでも先攻2ターン目に相手ヴァンガードに攻撃できる可能性があります。また、防御面では特にフォースクランが優秀で、プロテクトやアクセルの平均的なG2-9000のパワーでは届かない10000の前列をただ並べるだけで、相手に余分な展開を強いたりこちらのガード札を温存できたりします。

 

後攻は不利な分、アタックとドライブチェックの機会が先攻よりも多くなっています。しかし、この程度では先にG3にライドして強力なスキルを発動できる先攻との差は埋まらないと考えます。

 

 

◆初期手札

ヴァンガード運ゲーと揶揄されることもありますが、最初に配られる5枚の手札もかなり重要な運要素です。

 

G1、G2、G3が最低1枚ずつあり、ライド事故という敗北要因を回避できている初期手札は強いと言えます。

残りの2枚を追加のアタッカーやカード札とするためのマリガンを行います。

 

3枚以上のマリガンをしなければならない手札は、やや弱い手札と言えます。

マリガンが思うようにいかなかったいかなかった場合は、ライド事故の可能性を引きずることになり、アシストなどをしようものなら手札1枚(残る手札の質で考えるとそれ以上)の損失を被ることになります。

 

5枚チェンジをしなければならないG1が無い手札は、かなり弱い手札です。

最悪、G1が引けなくてアシストすることになったら、そこから負けが見える程です。

 

※ G1が無い場合のアシストはG2やG3のアシストと違って、G1をキャッチできた場合の除外するカードの重さがかなりキツいです。必ず、初手+最初のドローの6枚の中から除外するコストを選ばなければなりません。2回以上のアシストは避けたいので、G2やG3が手札にある場合にはキープしなければなりません。そうなると、G0を除外することになります。これは30000以上のシールド値をそのゲームで失うことになります。かなり最初の方から言っていますが、ヴァンガードはシールドを削りあうゲームです。そこで30000以上ものシールドを失うのは相当な損失です。

 

 

◆デッキ特性の把握

あなたのデッキの最高の動きとはどんなものでしょう。これを説明できますか?

 

いわゆる「ブン回った」場合の想定です。

4ターン目くらいまでに相手を仕留めらる動きを考えてください。できれば、先攻/後攻それぞれのパターンを考えます。これは、そのデッキが目指す理想や目標になります。このことがイメージできていないと、各カードに最高の仕事をさせてあげることができません。

 

デッキ構築の際に、個々のカードの強みは検討しているはずなので、もう一歩踏み込んで「このカードは(先/後)何ターン目の、どういう場面(自分と相手がそれぞれ何点ダメージで、使えるCBやSBがどれくらい)で一番強い」のかを説明できるようにしましょう。

 

少し例を挙げてみます。

多くの人に分かりやすいかと思われるのでロイヤルパラディンのユニットを例にします。

 

ミスリルの召喚術師

自分は先攻を取っていて、後攻1ターン目の相手の攻撃で☆がめくれたり、2パンされてこちらが2ダメージ以上受けている場合に、前列Rにコールできるとかなり強い「返し」の動きができます。

ミスリルの召喚術師のスキルでハイドッグブリーダー アカネをコールして、アカネのスキルでぽーんがるを出すという3面展開が、この1枚のカードで可能だからです。

そのまま、ミスリル単体→G2V→アカネとぽーんがる列と3パンを返すことができ、相手が仕掛けてきた早めのダメージレースに付き合うことで、相手を一方的に優位にさせません。

また、ドライブチェックでヒールトリガーをめくればこのターンに使用したCBの回復が見込めますし、☆をめくればダメージ差を一気に突き放すか、ガードに多大な手札を消費させることができます。

 

・小さな賢者 マロンとナイトスクワイヤ アレンの違い

先攻3ターン目で一気に展開して攻め込む際に、手札にアタッカーいるかどうかやVが騎士王アルフレッドかどうかなどで使い方が異なるカードです。

手札に別のアタッカー(文武の賢者 ジャーロンなど)がいる場合にはアレンが重宝します。どうせ手札からコールする予定のアタッカーを、アレンの効果でアレンとは別の列にコールしてドローとパンプができます。

ここでアレンをフォースが置いてあるRサークルにコールすることで、単体21000のアタッカーにできますし、アレンの効果でアタッカーを引いたらアレンを後列に下げて空いた前列にコールして高パワー列を作ることもできます。

効果でのコール先を自由に選べる反面、手札にアタッカーなどがいないとメリットを最大限に活かしにくくなります。

 

一方、騎士王がVの場合などはマロンの方が重宝します。

マロンと騎士王のコスト(CB)さえ払うことができれば、マロンの前にブラスターブレードをコールしてパンプしつつ1枚ドローという効果を、次のターン以降でも使用することができます。

繰り返し使えることがマロンの強みなので、毎ターンブラスターブレードをスペリオルコールできる騎士王とはとても相性が良いと言えます。

同じ縦列という条件があるため、アカネの効果などで後列がすでにぽーんがるで埋まっていると、マロンの良さが引き出せません。

 

 

このように個々のカードがどういうときに強いかを説明できると、そのデッキの「デッキ特性」が見えてきます。

 

ロイヤルパラディンなら、各ユニットのスキルを使用して手札を極力減らさずに他のデッキ以上にリアガードを展開することが「デッキ特性」のひとつです。

また、その展開力と各種パンプスキルで、毎ターン安定して相手に2枚以上のガード消費をさせるような3パンがしやすいことも挙げられます。

他にはソウルセイバーの存在も「特性」のひとつと言えます。

ガードが困難な高い要求値を得られるスキルなので、相手が5点のダメージを受けている最終局面で強力なフィニッシャーになることはもちろん、中盤で早めに使うことでノーガードを誘い、一気に相手とのダメージ差を広げたり、逆にダメージレースで負けている場合にその差を詰めることができます。

 

 

◆ボードメイク/ゲームメイク

自分の「デッキ特性」が把握できたら、今現在の手札でその「特性」を最大限発揮できるようなVへのライドやRの配置、あるいはガードを行います。

 

 ・ボードメイク=盤面のユニットの配置

 ・ゲームメイク=殴り方や殴り順、ガードかノーガードか

 

ここで大事なのが手札が弱い場合です。

 

手札が強い場合や、使いたいタイミングで使いたいカードが引けている場合は「デッキ特性」に従って最大限の仕事をさせてあげれば問題ありません。

手札が弱い場合には、その現状をどのように耐えるか、あるいはごまかすかが非常に重要です。

 

先ほどのロイヤルパラディンだと、先攻3ターン目にソウルセイバーにライドしたものの、手札のアタッカーはジャーロンのみ、あとはぽーんがるとトリガーユニットばかりで思うように展開ができないときなどが弱い状況と言えます。

このようなときのゲームメイクの一例としては、リアガードの展開は最小限に抑えて、このターンのツインドライブで手札の質がどう変わるかを見ます(様子見)。

幸い、トリガーユニットはそこそこ手札に確保してあるので、まだ耐えなければならない状況が続きそうなら手札のトリガーを消費して守りを固めたり、アカネマロンアレンといった返し札を引けて次のターン以降攻勢に出れるようなら、CB確保のためにダメージはある程度受ける(ダメージコントロールする)ようにしたりという選択が取れます。

 

 

◆4つの試合展開パターン

自分の使うデッキの「デッキ特性」が把握できたら、そのデッキの「強いとき」と「弱いとき」が分かるようになります。

当然のことながら、相手のデッキも「強いとき」と「弱いとき」があります。

 

相手のマリガンの状況を観察することで、相手が「強いとき」なのか「弱いとき」なのかある程度の判断ができます。

例えば、相手がマリガン時にノーチェンジもしくは2枚以下のマリガンならば、これはもう「強いとき」です。こちらも覚悟決めてファイトに臨みましょう。

逆に3枚以上のマリガンをしているときで、引き直した後も渋い顔をしているようなら「弱いとき」とみてもいいでしょう。(油断は禁物です。)

こうしてマリガンの枚数から相手の情報を引き出すのも情報戦のひとつです。

 

ここまで分かってくるとスタンドアップをする前に、今回のファイトがどのような状況で始まるのか、以下の4パターンに大きく分けられます。

 

 ・自分が「強い手札」で相手も「強い手札」

 ・自分が「強い手札」で相手は「弱い手札」

 ・自分が「弱い手札」で相手は「強い手札」

 ・自分が「弱い手札」で相手も「弱い手札」

 

自分が「強い手札」のときは、それぞれのカードを「一番強いタイミング」で使って「デッキ特性」を最大限に活かせるようにしましょう。

この場合、相手も「強い手札」のときはミスが多い方が負けやすく、有効トリガーを多くめくった方が勝ちに近づくという構図になります。

相手が「弱い手札」のときは序盤になるべく、盤面やダメージなどでリードできるよう試合を組み立てます。数少ないアタッカーを的確に潰すことで相手の攻め手を封じたり、一気にダメージ5点まで追い詰めることで、以降相手は有効ヒールをめくるまでガードし(手札を消費し)続けなければならない状況に追い込むなどです。

この場合は、「ドライブ記憶」がキーになります。相手の手札にどんなカードが加わったかという情報を管理することで、相手が「弱い手札」のままなのか反撃に転じようとしているのかを予測することができます。

 

一方、自分が「弱い手札」のときは、都度引いたカードをどうしたら最大限に活かせられるかを考えます。

「デッキ特性」の把握のところで、「このカードは(先/後)何ターン目の、どういう場面(自分と相手がそれぞれ何点ダメージで、使えるCBやSBがどれくらい)で一番強い」かを説明できるようになりましょうと言いました。

初期手札が弱くても、ベストのタイミングでベストな1枚を引くことはTCGではよくあることです。逆転のタイミングを逃さないようにしましょう。

 

これら4つのパターンそれぞれのときに、どのようにプレイするかをあらかじめイメージしておきます。このために「デッキ特性」の把握が必要と言っていたのです。

 

また、慣れてきたら4つのパターンを、自分が先攻のとき、自分が後攻のときの8パターンに分けて考えてみましょう。

 

先攻/後攻を決めてマリガンをしたときに、どのパターンに当てはまるかを判断して、序盤(自分の3~4ターン目くらいまで)のファイトプランを立てられるように練習をしましょう。

 

正直、ここまでくるともう初級講座じゃないですね。

 

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」なんて言葉もあります。

 

己の「デッキ特性」という情報を知ることで確実に強くなれます。

 

 

少し難しい内容でしたでしょうか?

今回もご精読ありがとうございました。