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トレーディングカードゲームのことをつらつらと

VG初級講座4「デッキ構築ってなんですか」

さて、初級講座の第4回です。

 

ここまで要求値や攻撃の基本についてお話ししてきました。今回は、じゃあ実際にどんなカードでアタックしたりガードしたりするのってお話しです。

 

デッキ構築は対戦と並んでTCGの醍醐味のひとつです。

 

ヴァンガードのデッキは総枚数50枚、その内トリガーユニットが16枚という制約があります。さらにG1からG3まで順当にライドすることが基本的に求められるため、デッキ構築の自由度は他のTCGと比べると低いと言えます。これは別に悪いことではなく、デッキ構築の敷居が低いという事です。各グレードの配分もトライアルデッキなどでガイドラインが提示されているので、TCGを始めて間もない方でも、思い思いのデッキを組んで遊べるということです。

 

自分の好きなカードでデッキを組む。それはとても素敵なことです。ですが、ここでは少しだけ勝ちにこだわったデッキの組み方を説明したいと思います。

 

デッキを組むにあたって、意識したいポイントが3つあります。

 

・「個々のカードパワー」

・「デッキ全体の安定性」

・「カード同士の関連性」

 

上から順番に説明します。

 

◆「個々のカードパワー」

 

1枚1枚のカード単体で見たときの純粋な強さの評価です。同じクランの同じグレードのユニット同士でカードパワーを比べてみて、カードパワーが高い方が勝利を呼び込む力があるということです。

 

カードパワーは「数値が優れている」「テキスト(能力・スキル)が優れている」このような点で評価します。

 

現状のスタンダードでは、能力による上昇値込みのパワーを見て「数値が優れている」かどうかを判断出来ます。

 

例えば、「文武の賢者 ジャーロン」ですが、このユニットは15000まで能力で上昇します。ロイヤルパラディンのG2で似たようなパワー上昇スキルを持つ「至誠の騎士 ベルギウス」と比べてみましょう。ベルギウスのパワーは上昇値込みで13000です。パワー15000は、一般的なパワー8000のG1のブーストで23000に達します。パワー23000は「有効な要求値」とされる15000要求が取れる数値です。ベルギウスの13000だと10000以上のブーストがないと23000のパワーラインに届きません。つまり、ジャーロンの方が「数値が優れている」ことになります。

 

さらにそのパワー上昇を満たす条件が緩いか厳しいかで、「テキスト(能力・スキル)が優れている」ことを判断できます。

 

ジャーロンの場合は「ヴァンガードにアタックした時、あなたのリアガードが3枚以上」というものです。これは展開力がウリのロイヤルパラディンならば、かなり容易に満たせる要件です。一方、ベルギウスはVがG3であることが条件です。条件自体は緩いのですが、ジャーロンと比較すると序盤では何も能力を持たないユニット(ということになります。ベルギウスはRへアタックした時でも13000のパワーを出すことができますが、現状では13000のパワーでアタックしなければならない相手のRはあまりいないと考えられます。こちらもジャーロンの方が「テキスト(能力・スキル)が優れている」と見ていいでしょう。

 

また、相手の盤面に干渉できる能力を持つ場合は「テキスト(能力・スキル)が優れている」の評価に値します。コストを払うことで、相手のユニットを退却させられるかげろうのユニットなどがこれにあたります。(いずれ収録されるであろうリンクジョーカーの呪縛なども同様です。)

 

このように個々のユニットのカードパワーを評価して、評価の高いものをデッキに採用していきます。初級者の方は純粋なパワーの値で見比べての評価でも充分です。自分なりの評価でもいいですし、友達と意見を出し合うのも有意義でしょう。

 

 

◆「デッキ全体の安定性」

 

ヴァンガードはG1→G2→G3と順当にライドしていく必要があります。

また、ヴァンガードへのライド、リアガードのコール、ガーディアンのコールでは必ずといっていいほど手札を消費します。

 

いかに、その時々で必要なカードを引けているかが重要です。

 

「デッキ全体の安定性」を高めるためには、効果で手札を増やしたり、手札交換をしたり、盤面のユニットを増やしたりできるユニットの採用が必要です。

 

ロイヤルパラディンやオラクルシンクタンクは、「カードを1枚引く」(TCGゲーマー的には「キャントリップ」と呼ばれる)効果を持つユニットが多くいます。マロンやサークルメイガスのようなカードを引けるスキルは、順当にライドするためのG2やG3を引く機会を増やしてくれたり、戦力を拡充するためのアタッカーを引くチャンスを生み出してくれたりと、「デッキ全体の安定性」に一役かってくれます。

 

また、盤面のユニットを増やせる「騎士王アルフレッド」や「ハイドッグブリーダー アカネ」は「デッキ全体の安定性」をかなり高められるユニットです。「特定のカードを山札から探してきて盤面にコール(もしくは手札に加える等)」といういわゆる「サーチ」というスキルは、ヴァンガードだけでなく多くのTCGで強力な効果とされています。そんな強力な効果をカウンターブラスト1点という低コストで実行できる騎士王とアカネは、「デッキ全体の安定性」に貢献できるので採用したいカードと言えます。(両方ともパワー上昇スキルも持っているので「個々のカードパワー」も高いです。)

 

ヴァンガードはゲームの性質上、カード1枚が非常に重要なリソース(資源)となっています。手札や盤面のユニットを増やせるカードをデッキに多く採用することで、「デッキ全体の安定性」が高くなります。

 

 

◆「カード同士の関連性」

 

 あるカードと別のカードが揃うと一気に強力な効果が生み出されるようなデザインのカードがあります。それら「カード同士の関連性」もデッキ構築の重要な要素のひとつです。「カード同士の関連性」はTCG用語としては「シナジー」と呼ばれます。また、カード同士の組み合わせを「コンボ」と呼んだりもします。

 

「カード同士の関連性」は直接テキストでカード名が指定されている場合と、カード名は直接書かれていないが組み合わせると強力な場合があります。例を挙げると、前者は「ういんがる」、後者は「ドラゴニックガイアース」などです。

 

・ういんがる

 あなたのターン中、このユニットと同じ縦列にいるあなたの「ブラスター・ブレード」すべてのパワー+5000

 

・ドラゴニック・ガイアース

 グレード3以上をブーストした時、[CB1、このユニットをソウルに置く]ことで、そのバトル中、ブーストされたユニットのクリティカル+1

 

ういんがるはブラスターブレードと関連性があることが一目で分かります。ブースト等しなくても自分のターン中は同列のブラスターブレードの上がりっぱなしなのがポイントです。(スタンドトリガーや、バトル中のG2スペコができるなら結構強かったかもしれませんね。)

 

ドラゴニックガイアースはブーストされたG3の☆を上昇させるので、相手に大ダメージを与えることができます。そのまま使っても相手にガードされてしまうでしょう。もし、ガードするのが難しい高パワーのG3ユニットにこの効果を使えたらどうでしょう?また、もともと☆が2以上になっているG3ユニットにこの効果を与えると、さらに大ダメージが狙えます。かげろうには「ガードするのが難しい高パワー」と「もともと☆が2以上」を満たせるG3ユニットがいます。「パワー+10000/クリティカル+1し、相手は手札から守護者をコールできない」という能力を持つドラゴニック・ウォーターフォウルです。このようにテキストに直接書かれていなくても相性の良いカードというものがあります。

 

このように「カード同士の関連性」を持つカード相互をデッキに採用することで、攻守に渡ってデッキを強化することが出来ます。

(ちなみに、ういんがるはテキストに書かれていませんが、アカネとも関連性があります。アカネの「ハイビーストにブーストされたときパワー+3000」を発動させることができます。)

 

 

 

ここまで、「個々のカードパワー」「デッキ全体の安定性」「カード同士の関連性」という3つのデッキ構築のポイントを見てきました。

 

実際にデッキ構築をする際は、今回紹介した3つのポイントをどう組み合わせるかが腕の見せどころになります。

 

とにかくカードパワーの高いカードを詰め込んで、相手をねじ伏せるデッキ。

安定性を高めるカードで、事故やストレスのないファイトができるデッキ。

複数のカード同士の組み合わせを重視した、コンボ特化型のデッキ。

 

スタンダードはまだカードプール(選択できるカードの種類の範囲)が狭いので、必然的にカードパワーと安定性のバランス型になりがちです。(そういう意図で開発されているとも言えます。)

 

よくあるテンプレート的なロイヤルパラディンのデッキレシピに、これら3つのポイントを当てはめると以下のような感じになります。自分でデッキ構築する際の参考にしてみてください。

 

【参考レシピ】

4 ソウルセイバー・ドラゴン

 (6枚に+15000という「カードパワー」)

4 騎士王 アルフレッド

 (ブラブレのサーチという「安定性」と、+10000の「カードパワー」)

4 ブラスター・ブレード

 (盤面に干渉でき、アルフレッドにより+5000される「カードパワー」)

4 ハイドッグブリーダー アカネ

 (ぽーんがるをサーチ出来る「安定性」と+3000の「パワー」)

4 文武の賢者 ジャーロ

 (緩い条件で+5000される「カードパワー」)

4 小さな賢者 マロン

 (手札を補充できる「安定性」しかも再利用できる、+3000はおまけ)

4 ぽーんがる

 (ソルセのためのソウルを補充できる「安定性」とアカネのサーチ先)

4 ナイトスクワイヤ アレン

 (手札を補充できる「安定性」、+3000はおまけ)

1急進の騎士 アニル

 (ほぼすべてのG2までに要求がとれる「カードパワー」)

※G0のカードはファーストヴァンガードとトリガーなので割愛します。

 

 

 

最後に、デッキに採用する枚数の基準をまとめて終わりにします。

 

・4枚……最優先でライドしたいカード、ソウルに必要なカード、もしくは必ずリアガードに置いておきたいカードは4枚投入するべきです。多少、手札に引きすぎて枚数が腐ってしまっても問題ないので、1回のファイト中に、必ず1~2枚引きたいカードは4枚入れましょう。

 

・3枚……4枚よりも多少優先度が落ちるカードです。1回のファイト中に1枚は引きたいカードや、4枚入れたいけど他のカードに枠を取られて3枚しか入れられない、そんなカードたちがこの枚数になります。

 

・2枚……引けたら強いが引けなくてもいいカードは2枚くらいの採用になります。また、活躍できる状況が限定されているカード(たとえばヴァンガードの後列に置くためのブースター等)も2枚程度となります。

 

・1枚……活躍できる状況が非常に限定されてしまっているカードや、盤面に1枚だけあればいい上にこのカードをサーチする能力を持ったカードがすでに4枚投入されている場合などです。

 

 

以上がデッキ構築の基礎となります。

(これより難しいデッキ構築のポイントは機会があれば書きます。)

 

 

基本的な知識もついてきたので、ファイトを始めてみましょうか。

おや?最初の手札が「G0、G0、G0、G0、G3」ですか……。

 

 

次回は、スタンドアップ前の手札の入れ替え「マリガン」についてです。

ご精読ありがとうございました。